【その28】 ★経営分析その3 「総資本経常利益率」について考えよう!
今回は経営分析について、その3回目です。
前回までは「ひと」に関わる分析をしてきましたが、これからしばらく経営分析における基本的な項目について考えていきましょう。
経営者が取引先について持つ最大の関心事は、まず気になるのは、「あの会社は大丈夫だろうか?」に尽きます。我が社の債権が約定通りに回収されていれば、それで良いのです。社長の人柄が良いとか、ゴルフがうまいとかは二の次ですね。
経営分析は企業の財務諸表の金額を数値化することにより、経営判断の材料とするものです。
この経営分析の基本となる比率は、「総資本経常利益率」といえるでしょう。事業本体の収益性を重視する考え方から、「総資本営業利益率」を用いるときもありますが、営業外損益を含めた経常利益がより経営実態を表しているところから、ここでは「総資本経常利益率」により分析を行うこととします。
総資本経常利益率は、次の算式で算出します。
|
つまり、その会社が所有している財産でどれだけの利益を獲得しているかを測る比率が総資本経常利益率なのです。従って、この比率が高いほど効率的な資産運用を行っていることを示します。
この算式の中に「売上高」を分母と分子に入れることにより、収益性を表す「売上高経常利益率」と、効率性を表す「総資本回転率」に分解することができます。これらの比率を更に分析することで、効率的な資産運用がなされているかに始まり、収益性が良いのか、あるいは利益を獲得する資産で形成されているのかどうかについて検討することが可能となります。
こうした分析で、対象企業の企業体質をみることができるのです。
さて、ここで例題によって、計算してみましょう。 |
総資産 10億円
年間売上高 5億円
経常利益 3千万円
総資本経常利益率 = 3千万円÷10億円 = 3%
売上高経常利益率 = 3千万円÷5億円 = 6%
総資本回転率 = 5億円÷10億円 = 0.5回
算式通りの答えとなっているかどうか、検算してみましょう。
6% × 0.5回 = 3%
総資本経常利益率が、3%になりましたね。
|
|
さて、総資本経常利益率の目安についてどのように考えたらよいのでしょうか?
一般的に製造業など装置産業といわれる企業は、利益率が高い反面、回転率は低くなりますし、卸売業や小売業などそれほど固定資産を必要としない業種では、利益率が低くなりますが、回転率は高くなります。
販売業を営むA社が売上高経常利益率2%、総資本回転率1.5回であれば、総資本経常利益率は3%となります。また、製造業を営むB社が売上高経常利益率5%、総資本回転率0.8回であれば、総資本経常利益率は4%となります。
業種が異なっても、総資本経常利益率はそれほど違いがあるものではないのです。
同業他社と比較することも役に立ちますが、とりあえず我が社の数年間の比率を計算し傾向を検討してみてはいかがでしょう。
お解りいただけたでしょうか?「総資本経常利益率」の本質。